ちひろ美術館・東京の成り立ち

ちひろ美術館・東京は、童画家・いわさきちひろの絵画や絵本原画を展示する美術館です。
いわさきちひろが亡くなって3年後の1977年、彼女が晩年を過ごした自宅兼アトリエの跡地(東京都練馬区下石神井)に開館しました。
その後、2002年に建築家・内藤廣の設計によって現在の建物へとリニューアルされ、より開かれた美術館として生まれ変わりました。

いわさきちひろが描いた子どもたち

いわさきちひろは、自然体で愛らしい子どもの姿を描き続けた童画家です。
黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』の挿絵を担当したことでも広く知られています。

1918年生まれの彼女は戦争を経験しており、単に可愛らしい子ども像だけでなく、「戦火のなかの子どもたち」など、戦争と子どもをテーマにした作品も残しました。
そこには、戦争の悲惨さや「無垢な子どもを戦争に巻き込んではならない」という強い願いが込められています。

内藤廣がつくる“童心に返る”美術館

美術館は4つの展示室と2つの中庭を持ち、複雑な形状をしています。
その構成はまるで森の中を探検するようで、訪れる人に童心を思い出させるような動線がつくられていました。

展示室をつなぐ渡り廊下には自然光が差し込み、木のぬくもりが感じられる心地よい空間が広がります。

また、とらや赤坂店でも感じたのですが、内藤廣の設計する階段には独特の“物質的な豊かさ”と“繊細さ”を感じます。
その理由は、手摺の支柱が横向きに二列で構成され、細い線が規則正しく並ぶ構造になっていること、そして階段を上るごとに少しずつ見える景色が変化することにあるのだと気づきました。