ラロッシュ邸は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエが設計し、1925年に竣工した住宅である。
施主はスイスの銀行家であり絵画コレクターでもあったラウル・ラロッシュで、彼の美術収集と生活の双方を支える空間として計画された。
隣にはコルビュジエの兄アルベール・ジャンヌレ夫妻の住宅が建ち、現在ジャンヌレ邸はコルビュジエ財団の事務所として使われているため内部の見学はできない。

ラロッシュ邸は、コルビュジエが提唱した近代建築の五原則を初めて本格的に実践した建築として重要な意味を持つ。
ピロティ、自由な平面・立面、水平連続窓、屋上庭園といった原則が明確に示され、後のサヴォア邸や現在の近代建築へとつながる原型がここで形になった。

内部のアートギャラリーは、ラ・ロッシュのコレクションを展示するために設計された空間が広がる。
コルビュジエの設計したこのピューリスム的な空間に、ラ・ロッシュはキュビスムやピューリスムの絵画を並べたそう。
側面にあるスロープは想像以上に急勾配で驚いた。

住宅部分は水平連続窓から自然光がたっぷり入り込む空間になっており、どの部屋も明るく、心地がよい。

このラ・ロッシュ邸もサヴォア邸などと同じく、「ル・コルビュジエの建築作品—近代建築運動への顕著な貢献—」として世界遺産に登録されている。