一つの街をつくる集合住宅
ユニテ・ダビタシオンは、近代建築の巨匠ル・コルビュジエが設計し、1952年に竣工した集合住宅である。
18階建て・337戸を備え、最大1600人が暮らせる巨大な住居で、「住居の統一体」を意味する名称の通り、一つの街として機能する。
建物内には郵便局や幼稚園など26の施設が併設され、巨大マンションというより都市的な複合体に近い。
建築には近代建築の五原則が取り入れられ、ピロティや屋上庭園が設計されている。
また、コルビュジエが提唱した人体寸法の基準「モデュロール」が初めて本格的に採用された建築としても知られる。
ブルータリズムの原点
戦後の物資不足の中で建設されたため、装飾的な仕上げは排され、塗装を施さない打放しコンクリート(ベトン・ブリュット)を用いて素材と構造をそのまま露出させている。
このミニマルで力強い表現は後に「ブルータリズム」と呼ばれ、その先駆的な事例となった。
このマルセイユのユニテダビタシオンは吉阪隆正が現場監理を担当したが、彼自身の後年の建築にもブルータリズムの要素が色濃く見られる。
ユニテ・ダビタシオンの思想とその継承
ユニテ・ダビタシオンの構想は、この建物以外にもフランスのルゼ、ブリエ・アン・フォレ、フィルミニの3カ所、さらにドイツ・ベルリンの計5カ所で実現した。
また、この集合住宅の考え方は日本でも取り入れられ、前川國男設計の晴海構想アパートや大髙正人設計の基町アパートなどに影響を与えている。